2005/03/09

「2分の1」から「1」への遷移

僕の手の中にあるこのコインを放り投げたら、
その落下地点が平面であるなら、
コインは表か裏のどちらかを僕に示すだろう。
このことを「確率は2分の1」などと言うことがある。
2枚のコインを放り投げて、
その両方が表になる可能性は、
(1/2) * (1/2) = 1/4で、
このことを「確率は4分の1」などと言うことがある。

だが、コインを投げるということは、
たった1度きりの出来事なのだ。
その時、その瞬間に放り投げられたコインは、
1つのあり方しか僕に示さない。
裏になったコインを見ていても、
それは決して表にはならないし、
表であることの何ものも表象してはいない。
確かに、裏でしかない。
可能的世界のコインは、あの瞬間、
表を示したのかもしれない。
残念ながら僕は「猫を飼っていない」のでわからないし、
少なくとも、僕の目の前のコインは裏だ。

よくわからない。
最も確からしい方を選んでも、
結果がどうなるかは、結果次第だ。
放り投げたコインは、
「2分の1」の放物線を描きながら、
「1」の地点へと落ちていく。
いったい、どういうことなのだろう。
「2分の1」から「1」への遷移で起こっていることは、
いったい、どういうことなのだろう。

とりあえず、考えている暇はない。
時間は刻々と迫っている。
この30*16の最も右下をクリックするのだ。
それが爆弾であろうとなかろうと、
マインスイーパを制覇するには、それしかない。


posted by SuZ at 23:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | Memorandum

2005/03/07

ある晴れた日の空

ある晴れた日の空。
珍しく顔を出した太陽は、
季節に似合わない大き目の雲を2つ、傍らに抱えていた。
1つの雲は太陽の左側に位置し、
もう1つの雲よりも少しだけ大きかった。
1つの雲は太陽の右側に位置し、
もう1つの雲よりも少しだけ小さかった。

やがて2つの雲は風に煽られ、
太陽の前で1つの大きな雲になった。
太陽はその雲へと光を与え、
その雲は太陽へとその光を返していた。
やがて、その雲は太陽の下を離れていった。
形を変えつつも、別れることなく。

ある晴れた日の空。
僕もあの雲のようでありたいと願う。
posted by SuZ at 19:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | Memorandum

2005/03/01

名前は忘れたし、忘れてよい。

とある百貨店にあるうどん屋。
名前は忘れたし、忘れてよい。

 僕は漬物が嫌いなわけではない。
 よく行く定食屋のご飯の隅についてくる、
 よくわからない漬物も幸せに食べることができる。

僕は「アナゴ天丼・ミニうどん付」を注文した。
値段は百貨店価格。

 僕は対価を支払って品を購入するのであるから、
 それをどうするかは僕に決定権があるのでは?

注文後、時間はかからず、注文の品が届いた。
何やら細長い「枡」のような容器に、
その両端を大きく余しながら、
ご飯とアナゴが鎮座していた。

 僕は漬物が嫌いなわけではない。
 それのみで食べる気がしなかっただけだ。

もちろん、ミニうどんも付いてきた。
そして、小皿にのった漬物も付いてきた。

 漬物は「箸休め」の意味もあるだろう。
 でも、僕はそういうように利用しない。

アナゴとご飯のバランスが1:1であったので、
特に漬物に手を付けることなく、
「ごちそうさま」をした。
55歳前後のおばさまの店員が食器を片付けてくれた。
おばさまは食器を手に取り振り返ると同時に、
同じく55歳前後のおばさまの店員に向かって、
「ねぇ、ちょっと!」
と言った。
僕は「なんだろう」と振り返ると、
「まったく…ひそひそ」
「ひそひそ…最近の…ひそひそ」
「困ったものだ……ひそひそ」
と、僕の残した漬物を指差しながら漏らしていた。

とある百貨店にあるうどん屋。
名前は忘れたし、忘れてよい。
posted by SuZ at 20:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | Memorandum

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